ラサ出張!?

1994年から2005年までの上海駐在期間中、メーカー営業マンとして全国各地を出張してきました。中国が、上海がまさに信じられないスピードで、経済発展を遂げ始めた10年間。その怒涛の変化の真っ只中で経験した貴重な、あるいは珍妙な体験の数々。これらを忘れない内に書き残していこうと思います。

2001年の11月、四川省成都の代理店から、彼らの担当地区であるチベット(西藏自治区)で大きな入札(招标)があるとの情報が寄せられた。私の会社ではOA機器を扱っており、入札の一括案件での商売は日常茶飯事。それでもチベットで100台という案件は前代未聞の規模。チベットのサブディーラーの実績からすれば、成功すれば年間契約の8割方は決まったようなもの。これは成都の代理店任せにはできない、是非ともバックアップに行かねばと、すかさず出張を決めたのでした。正直ラサに一度は行きたかったのが本音でしたが。

  • 成都からラサ行きの飛行機では、できれば左側の窓際席に乗りましょう。天気が良ければ素晴らしい景色が見られます。

成都空港から飛行機で1時間ほどでクンガ空港に到着。飛行機を降りるとそこはいきなり標高3650m!気圧が低く、酸素が薄いため、初日はあまり動いてはいけない、と成都の代理店の社長が教えてくれる。また風呂には絶対入ってはいけないと言う。特に風邪をひいていて風呂になど入ろうものなら、高山病から死に至る事もまれにあるそうだ。

この老板(ラオパン:ボスの意味)はラサ訪問歴5回目のベテラン。人には1日目は静かに過ごせと言いながら、夕食後に早速バーに飲みに行こうと誘ってくるような奴なのだが。空気がどのくらい薄いかと言うと、成都で買ったばかりの1元ライター(当時は1元=約14円)が、ラサに着いたとたん点火できなくなった程だ。
僕は高校時代まで登山をやっていて、高山には慣れていた為か、心配したような体調の変化も無く、初日をおとなしく過ごして2日目の朝を機嫌よく迎える事ができた。ところが同行した上海人の営業マンの様子が優れない。聞けば頭痛で夜も眠れなかったと言う。おまけに鼻血だ。参ったなと思っていると、現地のサブデイーラーの社長さんがやってきて、政府の入札事務局担当者のアポが取れていないと言う。それでは仕事にならないが、部下もバテ気味なので、ここは取りあえず観光しようという事に。

  • 大昭寺にいたC3POR2-D2みたいなコンビの坊さん

  • 大昭寺に向かって「五体投地」する信者たち。


五体投地」とはチベット仏教信者が両手・両膝・額を地面に投げ伏して行う礼拝方法の事なんですが、僕も実際に見たのは、この時が始めて。大昭寺周辺の屋台が並ぶあたりを歩いていると、いきなり後ろからぼろをまとったじいさんがダダーッと倒れこんだので、「だっ、大丈夫ですか?」と思わず声をかけたが、それが「五体投地」だった。僕が見た実際の動作はまさにこんな感じでした。

  • 道行く信者たち              雑貨を売る商店



  • そしていよいよプタラ宮(布达拉宫)へ。

  • 中にはダライラマ5世、7世から13世(下の写真)まで8人の遺体を収めた灵塔が収蔵されています。


プタラ宮についての詳細は、こちら

ところで、この出張、結局 入札担当者の都合がつかず、面会も空振りに終わってしまい、念願のラサへのただの観光旅行となってしまったのでした。

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