ビル・エヴァンス奇跡の音源発見!!

週末のハチでは、晩年のビル・エヴァンスのアグレッシブなピアノが流れていた。
マーク・ジョンソン(b)とジョージョ・ラバーベラ(ds)を従えた、テンポの速い演奏だ。


エバンスは1980年9月15日にドラッグの常用がたたり、肝硬変で亡くなっているが、
最後の1年間は、このトリオで死の直前の9月10日まで演奏活動を続けていた。

この日の演奏は、今のところ見つかっていないので、エバンスの現存する最後の演奏は、
サンフランシスコのジャズ・クラブ「キーストン・コーナー」での1980年8月31日から
9月7日の演奏を収録した「Consecration」という8枚のボックスセットということになる。

Consecration

Consecration

最近になり、まったく重複しない録音が更に見つかり、新たな8枚組「Last Waltz: The Final
Recordings Live」というボックスセットで発売されていたそうだ。

Last Waltz: Final Recordings Live

Last Waltz: Final Recordings Live

勿論エバンス・ファンでピアニストのマスターは、ライブ録音の音の悪さが気に入らず、
例によって全16枚のCDに、アナログ・ミキサーを通して音質調整を施し、「ハチ・リマスター」
版を作成していたらしい。

音には滅法うるさいマスターは、いくら演奏の出来が良くても音の悪いCDには我慢が
できない性質。だから本当に気に入った内容で、録音状態が気に食わないと自分で
ベストな状態にしてしまうのだ。
※2007年の年末に僕と二人でコルトレーンの欧州ツアー(61〜63年)音源をかき集め
  7枚物のCDにリマスターした事もある。この時の顛末はこちら

店に流れていたのは、こうして完成した、まさに「世界でハチだけ」の1枚だったのだ。
マスターによると、エバンス・ファンのお客さんから「ぜひ売って欲しい」との要望も
あったそうだが、「これは遊びですから」とお断りしているとの事。

話のつづきで、マスターが取り出したのが、更にすごい1枚。
ビル・エバンスの死の直前の記録では、8月15日ドイツ・ベルリンで演奏し、帰国後
「キーストン・コーナー」でのライブが始まるまでの間、演奏記録なしというのが
現時点での一般的見解らしい。
http://www.jazzdisco.org/bill-evans/discography/session-index/

しかし、ある人物の記憶から新たな歴史的事実が浮かび上がってきたのである。
ハチの常連ミュージシャンで、ベーシストのHさんだ。
その頃、米国西海岸に駐在していたHさんは、1980年の夏にHollywood Bowlで
Bill Evansのコンサートを聴いたというのだ。しかもあろうことか大型ラジカセで
録音までしたというのだ!!

物持ちの良かったHさん、家からコンサートのパンフレットまで見つけ出し、この
歴史的記録の正確な状況が明らかになった。

1980年8月27日、Hollywood Bowlで「1980 Jazz at The Bowl」という名のコンサート
が開催されている。エバンス単独のコンサートではなく、Shelly Manneがホスト役を
勤め、何人かのピアニストによる、いわば顔見世興行的な企画だったようだ。

しかし、時期が時期だけに、この記録は歴史的価値を持つものだ。
音質はかなり悪く、さすがのマスターもてこずったそうだが、何しろ世界中でも
いまだにブートレッグが出ていない音源。

ましてや日本にある事自体が奇跡ともいえるテープである。





全国のエヴァンス・ファンへ。
ぜひ一度、大阪の「いんたーぷれいハチ」で 奇跡の演奏を聴いてみてください。