Undercurrent/Bill Evans&Jim Hall

UNDERCURRENT

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スイングジャーナル読者ランキング第93位>

Bill Evans(p)&Jim Hall(g)
1.My Funny Valentine/2.I Hear a Rhapsody
3.Dream Gypsy/4.Romain
5.Skating in Central Park/6.Darn That Dream
7.Stairway to the Stars
8.I'm Getting Sentimental over You
9.My Funny Valentine/10.Romain

ジャズを聴いていると、アドリブあるいはインタープレイというキーワードが頻繁に出てきます。アドリブ(即興演奏)は分かりやすいと思いますが、インタープレイって一体どんなもの?と思った事はありませんか?

僕の行きつけの「いんたーぷれい8」もこの言葉を店名に掲げていますが、これは演奏の過程でミュージシャン同士が相互触発されながらアドリブを展開する状態を指しています。

ピアノとギターのデュオ、一見地味に見えますが、このアルバム、ジャズにおけるインタープレイとは何ぞや、という問いに答える絶好のお手本的演奏が聴ける必聴盤なんです。


その名演は1曲目のMy Funny Vallentine。まさに互いの演奏に影響されあいながら、ソロを展開していく様子が、これほど分かりやすい演奏も少ないでしょう。ジム・ホールのソロに耳を傾け、コード中心のバッキングで次なる展開を伺うエバンスの顔が目に浮かぶようじゃありませんか?

この1曲の為だけでも充分買う価値ありです。

さて、僕が持っているのはオリジナルのLPですが、最近のCDはこれに2曲のAlternate take(9,10)と2曲の未収録曲(7,8)が加わり10曲になっています。

ついでに言うとUS盤とUK盤、2種類の輸入版がアマゾンでも販売されていて、ここで紹介しているのは値段の高いUK盤の方です。その理由はジャケットの色がUK盤はオリジナルLPにジャケットの色調が忠実な上、曲順もオリジナルの6曲はそのままで、その後に追加の4曲が並んでいるからです。US盤はなんと、名演My Funny Valentineの本テイクを2曲目に置き、Alternate takeを1曲目に配置するというとんでもない事をやらかしています。

ジャズLPのCD化に当たって多くのAlternate takeが発掘されるのは、ジャズファンとして喜ばしい事だとは思うのですが、一方でオリジナルLPの曲順を変えてしまう見識の無いレコード会社のやり方には大反対です。
追加テイクは、オリジナルの曲をオリジナルの順番に並べた後に配置すべきものなのです。

LPというものは、録音時間の制限の中で、演奏者がベストと判断した演奏を、考え抜かれた曲順に配置してトータルな作品として制作されています。Alternate takeはあくまで資料的・研究的価値を持つに過ぎず、CDになって録音時間が増えたからといって、むやみやたらに何でも詰め込むのは作品としての価値を高める事にならない、それどころか場合によっては価値を下げてしまう事もありうるのです。

CDで追加された7〜10を僕は聴いた事がありません。気にはなりますが、9曲目のAlternateが1曲目より優れているとは、とても思えません。もし、このCDを聴かれて「Alternate takeの方が良かったよ」という方がおられたら、是非教えて下さい。

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