ハチママ・セッション


(ちょっと忙しくて更新が遅れてしまいましたが)先週金曜日の晩、9:30までの残業を終え、地下鉄で帰宅の途中、はたと第2金曜日であることに気が付いた。

「やべっ、梅田行かなあかんやん。」

毎月第2金曜日はジャズ喫茶<いんたーぷれい8>のハチママ・ナイト。昔は毎晩常連バンドのセッションに参加していた ママも72歳。さすがに夜な夜なアホなジャズキチ達に付き合っている訳にもいかない。とはいえ、たまにはバカ騒ぎもしたかろう。

てなわけで常連さんの発案で、始まったハチママ・ナイト。この日ばかりは、「私が主役よ」と、このやかましいおかんを中心に、日頃とは一風異なる「ランチの女王」セッションとなるのだ。

10時過ぎに店に着くと、すでに仕事着に長靴という魚屋のようないで立ちのママが、マスター率いるピアノ卜リオをバックにスキャットしていた。

「ンッパカスチャラカ、イェイイェイイエーッ、シュビドゥビドゥバラバ、みんな選挙行きやーっ。」

相変わらず常人には理解しがたい脈絡の無さである。

この8ママ、山下洋輔さんが評して曰く、「普通の喋りがそのままジャズ」という人なので、初対面のお客さんはちょっととまどうかもしれない。人と話をしていても、次から次へとさまざまな発想が頭の中で交錯しているのだろう。

さて、この日ばかりはママが主役、誰も逆らえないという決まりになっている。ひとしきりハチャメチャな曲をかました後で、ママはお気に入りの”いくさん“に声をかける。
「いくーっ、1曲うとてや!」
常連のいくさんは、僕も好きなブル一ス系シンガーである。

「ええーっ、あたしやんのぉ?(もろ大阪弁イントネーション)」と言いながらも今日はママには逆らえない。渋々と登場するが、歌い出すと相変わらず良い味を出す。

そこへテナーサックスのひめさんがひょいと現れて飛び入りする。高校時代から来ていたという常連さんで、結構いい年のおじさんのはずなのだが(ひめさん、すいません)、見かけは派手なアロハシャツと薄茶色に染めた一昔前のロッカーのようないでたちで、年齢不詳、職業不明。これがテナ一を吹かせるとめちゃうまなのだ。大学のジャズ研出身で、ライブで至上の愛を全編やったという人なので、どういう吹き方かは想像して下さい。

怪しいフリー系テナ一ひめさんが加わると、ブルースも一気にアバンギャルドな展開となり、僕好みになってくる。初めてのお客さんたちは、さっきまでのブルース・ソングが一瞬にしてフリージャズと化す展開に、「な、なんだ?どうなってんだ?」とアッケにとられている。

激しいアドリブがひとしきり続き、元の曲にもどるんかな?と思っていると、そこはさすがに手足れ達、強引にテーマにこぎつけ、いくさんも入るきっかけをもらい、最初のブルースに戻ってエンディングにこぎつけた。
メデタシ、メデタシ。

ここの常連さんたち、演奏レベルはまちまちだが、共通しているのは心からの音楽好きばかりということ。ジャズという文化が継承されていくには、こういう“場”が必要なんだよなぁ。

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