「バラはあこがれ」

今日はこのブログで初めてジャズと関係ない、シャンソンの名曲「バラはあこがれ」にまつわるお話です。

僕は大学時代「デッサン研究会」なる美術部で、油絵なんぞを描いていました。と、言うとなんかハイソで格好良いんですが、実態は大学でも有名な酒飲みクラブ。
反骨精神溢れる変な連中だらけで、どのくらい変かというと、
・飲みためた無数のビール瓶を基礎に、裏BOXなる部室を建てた建築学科の先輩や、
・下宿での飲み会中に、突然「日本海を見ながら牛丼が喰いたい」と主張し、皆を巻き添えに、本当にドライブで日本海まで連れて行ってしまったアルト吹きのおっちゃん、
・寿司屋の二階での宴会帰り、座敷のふすまと間違え、「帰りマース」と窓から飛び降りたお茶目な友人、
他、ここにはとても書けない、とんでもないエピソードを残した数々の「かなわん連中」揃いの大変個性的なクラブだったのです。

さて、このクラブの先輩から代々引き継がれていた歌が、何故かシャンソンの「バラはあこがれ」でした。これはデッサン研究会(略してデッ研)のテーマソングとなっていて、宴会の最後には、皆が輪になり肩を組み、この歌を大合唱するというお決まりでした。大学卒業後、20年以上が経つ今でも、皆が揃うとやっぱりこの歌を歌いたくなってしまうのです。一種のトラウマですかね(笑)。

さて、こうしたかなわん先輩の一人が転勤する事となり、送別会で昔の仲間が集まりました。ひとしきり馬鹿話に花を咲かせ、お洒落な新地のバーボン専門のバー"十年"で感動的なバーボン体験をした後、
  

梅新交差点にあるシャンソンが聴けるバーシャンソニエGilbertベコーに繰り出しました。
昔からクラブの個展(のんべの皆も、年に2回は個展の為に絵を描く訳です)で使っていた、国道画廊というギャラリーに程近い場所にあり、ここに通っていた古い先輩が「バラはあこがれ」に感動し、クラブ内に持ち込んだという、いわれある店。
調べてみると、この店のオーナー出口美保子さんは1967年にデビューされてから今も活躍されている、シャンソンの世界では有名な歌手だそうです。

3人の歌手とピアニストによる演奏は、時にはお客さんも歌に巻き込んで楽しませてくれる、とてもアット・ホームな良い雰囲気でした。「ろくでなし」という曲は、僕らも知っていたので、マイクを回されて、サビを大声で歌わせてもらいました。
どの歌も小粋で心に沁みるもので、シャンソンというのも良いもんだなぁと感心しました。

さて最後の「バラはあこがれ」では、歌い手の坂尾彰彦さんに連れ出され、一緒に大合唱。更に他のお客さんが帰られた後、学生時代を思い出しつつ、仲間全員でもう一度、目一杯歌わせてもらい、記念撮影をして悪友たちと別れたのでした。

《バラはあこがれ / L'important c'est la rose》
訳詞 早川清至 曲 ジルベール・ベコー

永久の誓いに背いた心が 君を捨ててゆく時も 時も
隠しきれない悩みを 誰にも打ち明けられない時も
*バラはあこがれ バラはあこがれ バラは僕たちの夢
 バラはあこがれ バラはあこがれ バラは僕たちの夢

暮らしに追われ あちこちと街を急ぎ駆け回る時も 時も
はらがへって そのうえおけらで夜風がわびしい時も
*繰り返し

冬が長すぎ 明日に小さな望みがもてない時も 時も
冷たい胸を暖めるだけの 友達のいない時も
*繰り返し

君が聴いてる僕のこの歌を
少しあげましょう君に 君に
君の想いに 君のあこがれに
香りをつけよう バラの
*繰り返し

(注)「はらがへって」の部分は本当は「お腹が空いて」らしい
   のですが、学生時代に「はらがへって」と覚えて以来、
   こうでないと気持ちがこもらないので勝手に変えさせて
   もらいました。

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